『寅さん』と言えば「渥美 清」氏です。画面を観ていると渥美清さんが寅さんと同一人物のように感じてしまい本当に寅さんが実在していて、もし街で偶然出会ったとしても気軽に声を掛けて許されるように感じてしまうほどでした。何故なら渥美さんの演じる寅さんは自然で誰に対しても分け隔て無く、誰にでも優しく接するイメージが画面から国民に植え付けられて愛されていたからだと理解しています。しかし現実は渥美清という役者と寅さんというキャラクターは全く別人ですから渥美清さんは24時間「寅さん」で有る筈が無いのです。にもかかわらず渥美清さんは常に誰に対しても優しい、私たちを最後まで見捨てないと勝手に考えてしまっていました。しかし渥美清さんも生身の人間ですから24時間「寅さん」を演じていることは出来ません。その現実を押し付けられた時に期待が大きかった分、逆に失望が何倍にもなって返って来た時の話です。投稿済みですが若い頃の渥美清さんはサービス精神旺盛で24時間本当に寅さんのように誰にでも接していたようでした。しかしその為に身体を壊してしまって俳優人生の危機に直面したようです。そこで究極の選択とも言えるほど渥美さんは悩んで、演技中以外はサービスを控えると決心したようです。寅さんの撮影で全国を巡って多くの人々に接すると、全国で待っている国民は「寅さんだ!寅さんが来た!」と大騒ぎになります。しかし渥美清さんはサインは勿論のこと笑顔さえ振り撒かないのでした。その現実を突き付けられた人々は「何だよ、ちょっと人気者になったからって御高くとまってるんじゃないよ!」と失望に怒りが加わった気持ちで渥美清さんを見たと言います。今となっては渥美さんの心の内を知ることは出来ませんけど心の中でファンの方々に「すまない」と手を合わせていたと思います。しかし目先の人気を優先して身体を壊したら全国の人々が待っている『寅さん』の映画を届けることが出来なくなってしまう。そうなれば更に多くの人々を失望させてしまう。それでは「本末転倒」と考えて罵声を浴びても耐えていたと思います。そこまでしても結局渥美さんは病を煩ってしまいました。そして病状は進行しました。かなり病状が進行しても渥美さんは極一部のスタッフ以外には何も伝えず映画を撮り終えるまでカメラの前に立ち続けました。何故この話をしたかというと私も生身の人間なので病気にならないと言い切れません。渥美清さんのような立派な人間ではありませんけど同じ人間です。現在私は月曜~土曜迄そして日曜は隔週で祝日も午前中は治療しています。全快堂が休みの隔週の日曜は勉強会に行っています。先日も大阪に行っていました。しかし自分で決めたことですから泣き言を言うつもりはありません。ただお願いしたいのは休憩時間だけは休憩させて欲しいのです。電話は治療時間中にお願い致します。休憩時間中の電話はお控え下さい。過労はミスに繋がりますし体調不良に陥れば治療出来なくなります。だから最低限のことは守って下さい。先日時間外に商品を売って欲しいと電話が有りました。売れば儲かるし良い顔も出来ます。そちらの方が断然得です。しかし「治療時間内に来て下さい」と、敢えて断りました。一人または一度許せば基準が無くなります。ブレたら他の守っている患者様たちに申し訳ないです。以前全快堂に来たかったのに亡くなってしまった二人の患者様に会わす顔が無くなってしまいます。あの日から私は基準に関してだけは『鬼』になると誓いましたから二度とブレません。どうか御理解下さい。