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『いのちの塔』

2024.08.07 | Category: 院長ブログ

昨日は「広島79回目の原爆の日」で『いのちの塔』(NHK)というドキュメンタリー番組を見ました。番組中では原爆が投下される直前から病院長が辞職する投下1200日後頃迄の出来事を構成していました。職業柄なのか全てがショックの連続でしたが特に「8月9日にレントゲン撮影したフィルムが感光していて真っ白で何も見えなかった、フィルムが被曝していたのだった」という話は胸に突き刺さりました。今まで公表された記録では火傷60%外傷20%放射線症20%と報告されていた死亡報告だったのに、新たに発見された詳細な記録では全く違う死亡報告「外傷と火傷が全てに放射線障害が絡んでいた」と有りました。赤痢が死亡原因と記されていた患者は赤痢特有の激しい腹痛や急性下痢症状が無かったのに亡くなり、牙関緊急という症状は破傷風菌に侵されて発症する場合が多く、破傷風菌が土の中にいることから凄まじい爆風で破傷風菌が舞い上がり感染させたことが予想される等、新たな発見が報告されていました。病院長は全身7ヵ所の骨折しながら病院を建て直す為に陣頭指揮を取っていました。投下現場の2km圏内に残った病院は赤十字病院と逓信病院の2つのみで投下直後から死者と負傷者が病院の外まで溢れ医療物資が絶対的に足りない状況に彼は「日本人だけの力では対応出来ない」と米国の力を受け入れる決断をしました。科学者は放射線量を「自然界の100倍以上」との報告により赤十字を通じて米国と世界中に日本の現状を訴え支援を要求しました。米国は総量15tの医療物資の支援と米国軍人や科学者を広島に送り込んで来て「今後も継続的な支援を」と約束しました。しかしそれは守られませんでした。米国は支援という名目で日本の、広島の米国に対する意識調査を行う為の道具に過ぎなかったからです。しかしマンハッタン計画を実現させた米国どころか広島も長崎も日本政府からさえも10年間見放され続けたことを多くの日本人は知りません。そんな中で広島の赤十字病院には『赤十字の旗』が掲げられ広島市民の希望となっていました。いつしか『いのちの塔』と呼ばれるようになった赤十字病院は追加支援無しの中、足りない医療物資と医療機器と医療費と医療人材で精一杯やり繰りしていました。しかし最大の問題は原爆を投下した米国さえも誰も分からない放射線汚染に対する人体と環境への影響でした。脱毛や皮下出血歯茎からの出血が無いのに高熱が出て気力•体力が急激に悪化して亡くなる『原子爆弾症』という症病名ばかりになりました。あまりの悲惨さに『人生とは何ですか?人間はこれでいいんですか?』と言って1人の医師が自ら命を絶ったことは病院長を始め医療従事者たちに大きな心の傷を残したと云います。米国は治療より研究優先の姿勢を貫き必要なデータを集めると躊躇無く帰国しました。病院長は米国に協力しながら支援を受けられなかった責任と失望から辞職しました。今年ウクライナから医療関係者が広島赤十字病院を訪れました。二度と核兵器の使用は許せません。許せませんが準備だけはしておかなければいけない悲しい現実が有ります。核兵器を手放せ無い、戦争を繰り返す愚かな人類には失望します。

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全快堂

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院長宮木 謙三