全国ではCOVID-19の話題で持ちきりです。テレビもネットニュースも新聞も連日連夜「医療逼迫」と叫んでいます。その中でパラリンピックが開催されていて「えっ同じ世界の出来事?」と思ってしまうほどです。そんな時間の流れの中でも当たり前に他の病気の進行が止まることはありません。25年間やってくると何度か悔しい悲しい場面に突き当たります。ご夫婦の患者様が来ました。奥様は少し前から通院され始め幸運にも気に入ってもらえて御主人の相談を受けました。私が腸や排便のことばかり言っているので、御主人が急に便秘気味になったことを心配したとの内容でした。直ぐに来て欲しいと思いましたけど一般的に男性は治療を嫌がる人が多く、やっと少し前に来られました。身体に触れて「あっ」と思いましたけど私には診断権がありません。だから「近くの病院でも診てもらって下さい」と伝えるのが精一杯でした。御主人は怪訝そうな顔をしながら「3ヶ月前に色々検査して異常無かった」と言われました。しかし「お願いします」と少し強引気味に繰り返したので承諾して下さいました。結果は「スキルス胃癌で肺と大腸にも転移していて余命1ヶ月」という診断でした。悲しいです。悔しいです。腹立たしです。私に診断権が無いことも、私には治す力が無いことも、せめて少しでも早く来てもらえば何かが変わったかもしれなかったことも、全てに対して腹立たしかったです。たった数ヶ月で「手の付けようが無い」ということは珍しく無いのです。そして痛みや痺れ等の自覚症状が全く無いことも珍しいことでは無いのです。だから診断ミスでは無いケースが殆どです。しかし患者側としては「数ヶ月で悪くなる筈が無い」「見落としなのでは?」と考えてしまいがちです。静岡から通院していた患者様が居ました。本人は肝臓ガンだと気付いてたと思いますが私にも家族にも一切語ら無かったので、その直前まで家族は知らなかったようでした。「全快堂に来るのが楽しいんです」と言われた笑顔が忘れられません。皆さんにお願いしたいことは、少しでも身体に異常を感じたら検査してもらい、万が一病気が見付かったら非常に幸運だと思って欲しいのです。コロナ、コロナで感染症ばかりに目が行きがちですけど他の病気も密かに進行している場合もあることを忘れないで下さい。私は二度と悲しい思いをしたくないから決して諦めない!10日間の入院で抗がん剤治療を選択されましたけど出来る限りアドバイスをします。腰痛を訴えたり脚のダルさを訴えることを予想して奥様に改善策を伝えました。願い続けます、必ず治る!